わたしの初めてのデートは花火大会。
馬鹿みたいに暑い夏の夜。
彼は年上で、そんな彼に見合う女になりたくて、
慣れないメイクをして出かけた。
空に花火が舞う夜、彼方此方にカップルがいる。
わたしたちもあんな風に見えているのだろうか。
彼の隣に並んでいてもおかしくないだろうか。
朝から緊張していたわたしは、
いつもより少し大人ぶりながら必死に会話を探していた。
彼は大人で、気付かないふりをしていてくれた。
「てをつないで。」
それがわたしの精一杯の言葉。
彼は微笑んで、手を握って歩いてくれた。
ずっとこの夜が続けばいいと思った。
この夜をずっと感じていたかった。
彼もわたしと同じ気持ちだったのだろうか。
もう何も上がっていない空を2人で見上げながら歩いた。
12/9/2023, 1:05:27 PM