この世の言葉が全て逆さまだったらいいのに。
そしたら私はあなたに気持ちを伝えられるのに。
いつもおちゃらけて、女の子には誰にでも優しく告白されたら誰とでも付き合う、隣の家に住んでるケンちゃん。
『なぁ、なんでお前はそんなに俺のこと嫌うの?』
『女の子を取っ替え引っ替えする人のどこを好きになれる要素があるの?』
『ほんと、お前って可愛くないよな』
そんな言葉のやり取りを、何度しただろう。
『うるさいな、別に私が可愛くなくてもケンちゃんには関係ないでしょ』
『そうだな』
『アンタなんて大嫌い』
『ああ、知ってるよ』
少しだけ悲しそうに笑うケンちゃんに胸が締めつけられる。
嘘だよ、ケンちゃん。
本当は、好き。大好き。
私もケンちゃんに告白する女の子たちみたいに素直にそう言いたい。そしたらケンちゃんと付き合えるかもしれないのに。
でも、そんな勇気私は振り絞れない。
言葉はいつも喉元で詰まってしまう。
だから今日も「大嫌い」しか言えないの。
本当は小学校の頃から好きで好きでたまらないのにね。
12/7/2023, 2:52:42 AM