テーマ「意味がないこと」
チリン。
風の音で、私は目を覚ました、
何もかもが詰まった黒のような、何もかもが無いような白のような、
線引きがなく、判然としない頭の中で、
真っ先に産声をあげたのは、
「寝過ごしてやいないだろうか」
という、馴染みきった不安で、
私は近くのテーブルに置いていたであろう
端末に、ほとんど無意識に手を伸ばし、
そこに書いてある数字に、まだ、お昼時だと言い訳が聞きそうな
時間帯を見た。
寝付きの悪さを考慮すると、正確性には欠けてしまうようだが、
オムライスを食べ終わった時に消した、テレビに最後に写っていたOP曲の事を何となく思い返すと、
「大体、2時間くらいだろうな」
と、考えた。
休日の、昼食後の、独り身での、中時間の、風通しの良い晴れの日の、お昼寝。
随分と、気前の良い言葉なのだが、
それでも少しの後悔………
とはちょっとズレた、
残念というような気持ちがあって、
その芽生えた感情に
未練がましさを自覚してしまって、
チリン。
風が笑っているんだと、思った。
11/9/2024, 7:15:33 AM