霧夜

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大切な人が増えていく度に、僕はまるで波に飲み込まれるような恐怖感に襲われる。

いつか僕は、彼らに捨てられてしまうのではないかと。

見限られて、冷たい視線を送られる日が来るのではないかと。

僕のせいで、皆が傷ついてしまうのではないかと。

大切だからこそ、怖い。
大切なものを失う痛みなんて、感じたくない。

だから、一人でいたい。

一人でいれば、何も失わずに済むから。
そう気付いた時、僕は部屋に引きこもり始めたんだ。

僕は今日も今日とて、静かで暗い部屋に引き篭もる。
誰にも、干渉されないように。

7/31/2023, 12:39:06 PM