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小指に繋がれた鮮烈な赤い糸が、おぞましいほどの鈍い赤に染められる。
糸の先で瞳を見開くその人は言葉を形に出来ないまま命の終わりを迎えた。
途端に重みを増した糸に顔をしかめて結びに手を掛ける。
あっけないほど簡単にほどけたそれは音もないまま落ちて溜まった血の上に模様を描いた。
少し跡が残った小指をさする。
どうやらこれは運命じゃなかったみたいだった。

6/18/2025, 10:14:45 AM