時雨 天

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明日、もし晴れたら




窓に雨の雫が当たる。雲が悲しくなって、涙を流したのだきっと。

「泣きたいのはこっちのほうなのに」

はぁーっとため息をついた。この時期は雨が多い。
毎年、毎年、雨なような気がする。
ざぁぁぁと本格的に降ってきた。私は窓に手をついて、肩を落とした。

「降らなくていいよ、本当に……明日、大事な日なのに」

窓から離れて、ベッドに向かって倒れた。
ばふんっと音を立てて、体が一瞬沈んで跳ね返る。

「毎年、雨じゃん。晴れた時、少ないよ」

枕を手に取り、顔に押し付ける。涙がじわりと出てきた。

「神様は意地悪だわ、そうよ、意地悪なのよ」

グリグリと枕に顔を擦り付けた。ヒリヒリするけど、それどころじゃない。
この抑えきれない怒りは誰にぶつければいいのか。いや、八つ当たりはよくない。
そう思いつつもイライラするのは止められない。

「年に一回しか会えないのに」

起き上がって、枕を窓に向かって投げつけた。
ばふっと虚しく床に落ちていく枕。

「晴れてほしい……明日、もし晴れてくれたら、彦星に会えるのに」

窓に近付いて、空を見つめる。そして手を組み、お願いをする。
みんなは願いを叶えるために、短冊に願いを書く。その願いが叶うならば、私のお願いも叶えてほしいものだ。

「はーれーてーくーれー」

強く強く空へと願う。明日、晴れますように――

8/1/2023, 1:39:26 PM