この先に進んだら、何かあるんだろうか。
何があるんだろうか。
僕たちはこの銀世界を進む。
明けるかも分からないこの冬を厳冬を。
来るかもわからない春を待ちながら。
ただあの人は言う。
「己のなすべきことをなしなさい」と。
「あなたがその剣を振るえば、世界は平和になるのですよ」と。
白い服を着たあなたが言う。
でもごめん。
僕は「仕事」を放棄するよ。
仕事しなくたって、平和になる方法はあるはずなんだ。
彼だけを犠牲にするなんてことは、僕は嫌だ。
だから、逃げてやる。
逃げて逃げて逃げ切ってやる。あの人の目の届かないところまで。
彼は誰にも奪わせない。
穏やかな幸せを君に捧ぐために、僕は君の手を取るよ。
さあ、鬼ごっこの始まりだ。
/12/8『雪原の先へ』
とあるゲームオマージュ。
彼を殺せば、世界は平和になるという。
白の鳥と黒の鳥のいる美しき終焉の世界。
「はぁ〜」
息を吐くといつの間にか白くなっていた。
「はー」
ため息が白い息となり、空気に散り消えていく。
(私の悩みもあんなふうに消えることができたらいいのに)
手袋で覆った口元で呟いた。
吐ききれなかった吐息は、今日も飲み込んだ。
/12/7『白い吐息』
12/8/2025, 3:07:07 PM