〝ピーッという発信音のあとにお名前とご要件をお伝えください。ピー――〟
「ウェッゴホッごほっ、……こほん。あー、もしもし、俺やけど。えーっと……元気か? あのべっぴんな嫁さんも元気しとるかいや。……あんさあ、お前いまどこにおんの? 東京? いや、ここ何ヶ月かまともに電話出らんから、どうしてんのかなって。お前、昔から図太い性格のくせに変なとこで神経質やったからやあ。どっかでこじらせて自殺なんかしとるんやないかって、みんなで話しとったところ。それで俺、みんなに言うたったのよ。お前に自殺やこする甲斐性あるわけないわいやって。アハハ、冗談、冗談。そうそう、なんや息子がいきなり学校行かんとか何とか言い出してよ。こんなん俺らのときはなかったやろう。対処するにもなあ、どう対処せえっちゅう話や。……まあ、そんなんええわ。お前んとこの娘は? どうしてんの? ……あー、ええ、ええ。また近いうちに会うかもしれんから。まあ、そんときにでも近況聞かせてくれや。じゃあ、また。……んー? おう、また留守電……」
〝プツッ〟
11/13/2024, 3:09:35 PM