REINA

Open App

降り止まない雨


『…ごめん。君のことは嫌いじゃないけど、異性としては見られない…』

そう、雨が降る日に振られた。



朝のニュースでは傘が必要だと言っていた。
学校に置き傘があると思っていたら、誰かに盗られたのか、傘は無かった。

雨が止むまで待つかとも考えた。
時間を潰せるとしたら、図書室かと浮かんだが、
私を振った相手がいるかもしれない。

読書好きの彼のことだ。
自分からわざわざ会いに行くことはしない。
しょうがないと思い、教室へと向かった。


随分とまぁ、どしゃ降りな雨だった。
さすがの振られた日は、ここまでひどくは無かったが、
私の心模様を写しているかのようだった。

まだチクチクと心に痛みがある。
随分と過去のことなのに、雨が降るたびに思い出してしまう。

なんて、センチメンタルな気持ちに浸れば、
悲劇のヒロインぶれたものだ。
それで自分を慰めた。

階段を登ったところで、まさかの人物に出くわした。

「あ…」

と相手は一言何かを言いかけたが、

「さようなら」

と冷たい雨を浴びせるかのように言い放った。

振った彼が悪いわけではないのに、私は誰かのせいにする他無かった。
こんな女だから振られるのだ。

いや、彼があまりにも優しいからなのか、私を心配する様子が、より一層私を惨めにした。
だから嫌な女になって、さっさと嫌われてしまおう。
そして私も忘れよう。

背中に彼の視線が突き刺さる。
窓には大粒の雫がダラダラと打ち付けて流れていた。

雨は当分、止みそうにない。



5/25/2024, 12:49:23 PM