通り雨に打たれて濡れても、傘を差さなかったのはその気力すら湧かなかったから、どれだけ腕をあげようと思ってもなにも動かせなくて手に持った黒い傘を引きずって歩いていた。 真っ直ぐ歩くことも儘ならず、フラフラと歩く目から涙は流れなかった。流すことが出来なかった。自分が今どんな感情なのかが分からなかった。いや、分かろうとしなかった。 君がいなくなった世界を私は歩けるだろうか。
9/27/2023, 10:12:55 AM