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「 母さん ? 大っ嫌いだよ ! 」

糸目の彼女は笑う 。

「 だってボクに女の子らしくあることを
ものすごく強要してきたんだ 、 本当にいや
だったんだから ! 」

幼い頃から可愛らしい服を着せられ 、
まるで壊れ物を扱うかのように優しくされ 、
なのに弟のことは適当に扱って 、
彼女を守る道具としか思わなかった母親 。

弟のことを粗雑に扱う母親のことを 、
彼女はどうしても好きになれなかったのだ 。



「 母さん ? ………… 好きだよ 。 」

笑顔を作った彼は言う 。

「 だって僕に生きる意味をくれたんだ 。
優しくされたことは無いけど 、 僕にはそれ
だけで充分だったよ 。 」

幼い頃から姉を守れと強要され 、
頭を撫でることも頬にキスをされることもなく 、
なのに姉のことは人形のように扱って 、
彼の分まで愛を注いだ母親 。

自分は愛されなかったけれど 姉を大切に
する母親を 、 それでも己は愛していたのだ 。


「 青藍のことは大好きだよ ! ……たしかに 、
母さんの遺伝を受け継ぎすぎなところはある
けど 、 でも母さんみたいに縛り付けてこない
から全然青藍の方がマシ ! 」

「 勿論藍のことは大好きだよ 。 僕は弟として
きちんと姉のことを守らなきゃいけないんだ 。
それが僕の生きる意味だから 。 」


- 好き嫌い

6/12/2023, 3:10:59 PM