あめのみ

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会は終わった。
やるべきことをすべて、出し切れたら、その分だけ達成感も半端なかったんだろう。
次のクラスが歌い始める。
あぁ、あの曲か。
そう思っても拳に力を入れ、肩を縮こめるしか、今できることはない。
金賞はムリだな~、オレがあそこで躓いちゃったからだよな~、はぁ~ごめんな、ホントに
そう言って、上目で合唱を聴く。誰かが、お前のせいじゃない、そう言ってくれることを祈っていたのかもしれない。とにかく、自分のことを認めて、慰めて欲しかったんだろう。

オレに任せなよ、今までずっと金だったんだ。今回もイケるだろ。
盛大なフラグだった。
負い目。感じざるを得ない。
プライドの高い自分にはあまりにも辛い仕打ちだった。

あいつどうしたんだ?
合唱コンよ。でも、あの子の気持ちもわかるわ。友達のお母さんから聞いたんだけど、遠目から見てても、うちの子は一際口を大きく開けて歌ってたんだってね。そのお母さんも、見てて可哀想になったんですって。

どうしてなんだ。何がいけなかった。あそこで躓いたからか。
突っ伏したクッションに顔を埋めて。親の話し声を背にどうしようもない言葉ばかりが脳内を埋め尽くす。
心の鬆が疼いてキューっと苦しくさせていく。

今日はあいつの好きなやつにするか。
父さんの言葉に動いた耳を隠して、僕はまたふてくされた。

                     あめのみ

8/25/2023, 10:40:43 AM