『空が泣く』
青く、透き通った空。
雲ひとつ無い青空は、どこか寂しげだった。
私が通う学校には中庭があって、大きな欅と、それを囲むようにベンチが置いてある。
お昼休み、私はいつものようにそこに座っておにぎりを食べていた。
「望月さん。」
自分を呼ぶ声がして顔を上げると、目の前に同じクラスの男の子が立っていた。小学校から同じクラスの子だ。名前は...。
「さっき担任が探してた。職員室来て欲しいって。」
「分かった。ありがとう。」
荷物をまとめて立ちあがる。
「楓せんぱーい!先教室行ってていいすかー?」
青ラインの体操服を着た男の子が、体育館からこっちに向かって叫んでいる。目の前にいた男の子(楓先輩)は「今行くから待ってろ!」と答えると、「じゃ。」とこちらに片手を上げて、そのまま体育館の方へ走って行ってしまった。その後ろ姿を見送って、私は職員室に向かう。
相変わらず空は青い。
その青空に、あの子たちの姿を重ねると、清々しい青空に感じられた。にもかかわらず、どこか寂しげに見えるのは私の思い違いだろうか。
青く、透き通った空。
雲ひとつ無い青空は、どこか寂しげだった。
9/16/2023, 3:05:17 PM