ここではないどこかへ(テーマ 遠くの空へ)
見知らぬ土地へ行こう。
仕事時間と睡眠時間、後は親の介護。
これらだけで構成される人生から解き放たれて。
飛空艇に乗って。
飛行船でもいい。
空を飛び、あての無い旅へ。
雲を乗り越え、国を下に見下ろして。
冷たく強い空気と、空を飛ぶ鳥だけを友として。
飛び続ける手段を得られるなら、そういう人生もいいだろう。
若い頃は、自分の夢とプライドが、あるいは『いつかは結婚して子どもを産むだろう』という根拠の無い期待や、世間体。
そんなものが『失敗するかもしれない無謀』を許さなかった。
しかし、もう歳は40を越え、未だ独身だ。
夢もプライドも期待も世間体らしきものも、日々の長時間労働で粉々になって、ほとんど残っていない。
無くすものが無い。
若い頃持っていた様々なものを歳とともに失い、代わりに得たものは無い。
気がつけば、守るべきものもほんのわずかになっていた。
だったら、好きに生きていい。
どうせ失うものなどほとんど無い。
これから得られる目処もない。
遠くの空へ、漕ぎ出そう。
我慢は40年もすれば十分だろう。
4/12/2024, 11:50:26 PM