iro

Open App

“わたしたち、ずうっと いっしょにいようね
ぜったい、やくそくだよ”

幼い頃はこうして、“絶対”とか“ずっと”とか、そうしたものの不確かさや疑わしさに微塵も思い至らず、無邪気に永遠の誓いを交わしたものだった。
こどもとは、純粋で可愛らしくて、時に残酷である。

やがて成長するにつれ、“絶対”などそうそう存在し得ないこと、“ずっと”とは“永遠”ではないということに気付いていく。
それらを口にする度に、言葉の上辺だけがふわふわと私の周りを漂い、その意味が持つ重さがずっしりとした質量を伴って腹の底に溜まっていくようだった。

そうしていつからか、不確かな約束の言葉を口にすることは無くなった。
時の経過と共に、言葉の契りがなくとも続いていく友情の温かさも知った。

それでも、幼い頃きれいな心で信じ切っていた約束を、今もまだ忘れられずにいる。
きっと私はいつまで経っても、その約束に永遠に憧れ続けるのだろう。


『約束』

3/5/2025, 7:59:06 AM