スナエ

Open App

 赤く、温かい液体が、私の頬に落ちてきた。
「い……くん…………」
 声が掠れる。
「大丈夫か?」
「大丈夫なワケあるか……!」
 君が、無数のガラス片から、私なんかを庇って。
 いいワケがない。
「あんたが、俺より小さくてよかった」
「バカ言うな!」
 私の叫びを聴いた君は、いつもみたいに笑った。

4/21/2024, 10:20:13 AM