瑞希

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子供の頃、私は田舎に住んでいた。
田舎とは言っても、お隣さんまで数キロ離れていたりするわけではない。ビルや団地も少なく、秋には鈴虫やら松虫やらの音が聞こえてくるような静かな場所だった。

買い物などの帰り道は、基本的には車だった。夜に出かけることもほとんど無かったため、夜空を見上げることは少なかったように思う。けれど、田んぼの多い地域だった為か、心なしか街灯が少なかった。
だから、珍しく夜に外出した時は足を止めて、星空をよく見上げていた。星座を探すことはしないで、ただ星を見ていた。あの星は明るいな、あの星は見えづらいな、それくらいしかあの時は考えていなかった。

比較的都心部の方に越してきても、夜に外出することは少ない。店の閉まる時間が早かったり、明かりに飛んでくる虫が苦手だったり、その他諸々の理由で。

ただ、星は今も変わらずに好きた。
春や秋など、暑すぎず寒すぎない気候の日はベランダに出て、月や星を見ることがある。光の弱い星は、あまり見えない。私の視力が悪いことも相まって。

星の写真などを見ると、思うことがある。
自分が死ぬ前に、満天の星空を眺めて眠ってみたい、と。
キャンプをするような性格では無いけれど、数多の星を眺めながら、その美しさを目に焼き付けながら眠りたい。

都心部だと、流星群はあまり見られない。
死ぬ前に1回くらいは見たいな、と思う。映像で見るのも好きだけれど、やはり自分の目で見てみたい。レンズやスマホ越しではなく、もしかしたらメガネ越しかもしれないけれど、自分の記憶に、網膜にその景色を焼き付けたい。

7/5/2024, 12:30:41 PM