"日の出"
昨日の朝も今朝も、日が昇る頃になると太陽が見える方角の窓辺に乗って日が昇るのを待ち、日が昇ってくると
「みゃあーう」
と、長く鳴くようになった。
──まぁ、見に行ったの二日くらい前だし飽きるだろ。
一回鳴いたら満足して窓から離れて、居室に入っていく。恐らく、朝ご飯までクッションで横になっている気だろう。
実は先月の中頃、身体が大きくなってきて窮屈になってきたのかトイレと水分補給とご飯を食べる時以外、ケージに入らなくなっていた。その為、ケージを撤去してケージがあった所にクッションを──因みにトイレは給湯室に──置いた。
居室に入っていくのを見守って、朝食の準備をしに台所に入る。
──フルーツサンドにするか。
たくさん貰っていた蜜柑も、正月に──なんとか頑張って──多く消費した為あと数個にまで減っていた。もうひと踏ん張りだと、フルーツサンド──蜜柑のみだが──に決める。
──確かコンビニに泡立て済みの生クリーム売ってたな。急いで行ってこよう。
居室に入る。見ると、やはりクッションに丸まっていた。
「ごめんな、ちょいと出てくる。もう少し待っててくれ」
聞こえているか分からないが、ハナに詫びを入れながらジャンパーを手に取り、袖を通す。
「んみゃあ」
寝ぼけた声で返事をする。しっかり聞こえていたようだ。
スマホと財布をジャンパーのポケットに入れると「行ってくる」と言って足早に居室を出てコンビニに向かう。
七分後生クリームを買って戻り、スマホと財布とジャンパーを居室に置いて急いで朝食作りに取り掛かる。耳付きの食パンに生クリームを絞り、その上に蜜柑の皮を剥いてひと房ずつ丁寧に分けながら乗せていく。丸々一個分を並べ終えると、被せるように生クリームを絞り食パンを乗せて対角線上に切って三角に切り分ける。それを皿の上に乗せて、今度はハナのご飯。ハナのご飯の皿を計量器の上に乗せてから電源を入れて計量しながらドライフードを皿に入れていく。適切量になると電源を切り、自分のご飯とハナのご飯を両手にそれぞれ持ちながら居室に入る。
「みゃあん」
入った途端耳を、ぴくり、と動かして立ち上がり、ケージを撤去してからの定位置に座るといつもより高めの声で鳴く。
「はいはい、お待たせー」
ドライフードが乗った皿を置くと、「みゃうん」と一声鳴いて、かりかり、と音を立てながら食べ始めた。
──さて、俺も朝飯。
机にフルーツサンドを乗せた皿を置いて椅子を引いて座り、両手を合わせ「頂きます」と言うと、一切れを手に取り一口齧って咀嚼する。蜜柑の爽やかさと生クリームのさっぱりとした甘さが程よく合わさり、思ったよりも食べやすくて美味しい。
──早く食べて、今日の準備だ。
気合いを入れ、二口目を齧った。
1/3/2024, 12:51:28 PM