鈴虫の声が聞こえる静かな夜だった。食卓には、ラップのかかった皿に私の大好物であるハンバーグ。そして一枚の書き置きが添えてある。「ごめんね、大好きよ」丸みを帯びた優しい文字。私の大好きな字。台所の隅には、泣き腫らした目をした妹が背を丸めて膝を抱えていた。彼女のお気に入りのぬいぐるみは、力無く床に横たわっている。22時を知らせる古時計の鐘が鳴り終わり、私は確信した。ママはもう、帰っては来ない。5/19 突然の別れ
5/19/2024, 3:25:06 PM