とある恋人たちの日常。

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 とあるきっかけで保護した子猫ちゃん。
 保護する時にとっさに手を伸ばしてしまったので、一緒にいた恋人に注意を受けた。
 だって彼は救急隊員。救助が彼の仕事だ。
 
 つまり私より安全に子猫ちゃんを助けることができたの。実際に私が子猫ちゃんを助けようとした時に高い木に登ってしまって降りるのに困ってしまった。
 
 そんな感じで助けた子猫ちゃん。
 ひとまず保護して動物病院に連れていったけれど、私たちでは飼えない。と言うか、ペットオーケーなところに住んでいるわけじゃないから選択が無いのだ。
 
 子猫ちゃんのために引っ越すわけにもいかないしね。彼と一緒に住んでいる以上、私ひとりの問題じゃない。
 
 まだまだ小さい子猫ちゃん。
 人懐っこい子猫ちゃんだから、きっとすぐに保護先が見つかるだろう。そうなったらこの子猫ちゃんとはお別れとなる。
 
「みゃあう」
 
 小さな命は私にかまって欲しいと純粋な瞳で訴える。
 手を伸ばして頭を撫でてあげると嬉しそうにノドをゴロゴロ鳴らして腕に絡みついた。
 
 ふふ、可愛い。
 
 すると彼の手が子猫ちゃんのお腹を撫でると、同じように喜びながら床を転がりまくる。
 
「可愛いねえ」
「はい、可愛いですねぇ」
 
 〝またいつか〟
 と、言う日はきっと来るだろう。
 
 それは寂しいけれど、無責任なことはできない。
 せめて子猫ちゃんの幸せになれる家族が見つかるまで、私たちの元でのんびり暮らしてくれたらいいな。
  
 
 
おわり
 
 
 
四三二、またいつか

7/22/2025, 2:58:00 PM