灰燼

Open App

「そろそろかな」

数ヶ月前に観測された惑星が隕石となって地球に落ちる。そういうふうにテレビで放送されたのは先月だ。それが今日、予想をはるかに上回ったスピードで地球に衝突するらしい。

ちょうどその日は生まれてからずっと一緒だった友人と会う約束をしていた。何をするにも一緒だった。だから自然と、お互いが好きなことをして過ごすのではなく、最期の時までそばにいることになった。

「なんとなくずっと一瞬にいるんだろうなって思ってたけど、本当にその通りになるなんてね。」
  「でもこんな最期だとは思わなかったよね。」
「なんか来世も隣にいる気がするね、私たち。」
  「ふふ、わかる。」
「来世はもっといろんな景色を見に行こうか。」
  「ご飯もたくさん食べようよ。」

暗い空に幾筋もの光が灯る。アラームが鳴り響く。
私たちはどちらからともなく手を握り、肩を寄せ合いながら、来世への希望を語り合っていた。

6/7/2024, 11:34:37 AM