ほむら

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私には、何も秀でるものがない。特別な才能を持っている訳でも、自分にしかないものを持っている訳でもない、ごく普通の存在だ。しかし、私のことを好いてくれている彼はどうだろう。彼はできないことの方が少ないくらい何でもできるし、周りと比べても輝いて見えるくらい、私とは対照的な存在だ。
それなのに、なぜ彼がこんな私の傍に居てくれるのだろう。私なんかが釣り合うはずもないのに…

「どうしたのですか?そんな暗い顔して」

いきなり声をかけられて隣を見ると、いつの間にか彼がそこに居た。驚いた私は目を丸くしながらも、彼に思いを打ち明けた。

「どうして、どうしてあなたは私のことが好きなの?なんの取り柄もないのに…」
「そんな事ないですよ。貴方はとても優しい人です。それに、俺は貴方のとても素直なところに惚れたんですよ。俺にとって、あなたの代わりになるような人は居ないんです」

彼は優しく微笑んで、私の背中を撫でながらそう言った。彼の瞳はただまっすぐに私を見つめていて、嘘を吐いている様子はなかった。私だって彼と一緒に居る時が楽しい。ずっと一緒に居たい。お互いの気持ちが同じであると確かめられた私は安堵して微笑みを浮かべた。

「ふふっ、貴方の笑顔は素敵ですね。それでいいんですよ」
「ありがとう、ありのままの私を好きになってくれて」
「どういたしまして。これからも、変わらずそばに居てくださいね?」


テーマ「それでいい」

4/4/2024, 10:49:46 AM