〈子供のままで〉
齢二十二。
「歳を食っただけの奴は大人ではない」というのは私の持論だが、同時に私個人に指した嘲笑でもある。
揚げ物や味濃い物は胃が受け付けず、唐揚げを食らう友人の横で冷奴と出汁巻きをつつく。整骨院へ赴けば、骨盤が歪んでいる、全身の凝りが二十代の代物ではないと哀れまれた。
正直、己で己の歳を疑う。時折に免許証の生年月日欄を確認する程に。今でこうならこの先は?老いとはこうも早いのか?
恐らく身体が死に近付いている。
昨日は、露台でしゃぼん玉を吹いた。大きくなるよう慎重に。先月末は田舎の実家へ帰り、手当り次第買い揃えた花火を遊び尽くした。地味に工程の多い知育菓子を丁寧に作り、完成品に感動もした。
綺麗を綺麗と、楽しいを楽しいと恥じず言葉にするまで長い時間を費やした。天邪鬼な幼少期には到底出来なかった進化。些細な事柄であり、我ながら年老うことの利点でもある。性急すぎる身体の老いは辛いものがあるが。
純真無垢に子供でいられることの何と幸せなことか。
それに然と気付く暁が、もうお前が過去を偲ぶ廃人になってしまったという証明をしてしまうだろう。
そうやって日に日に汚れ腐ることが、大人になる条件の一つだ。
5/13/2024, 1:18:30 AM