喜村

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 バリバリの仕事人だった私に、赤ちゃんが生まれた。
とてもふにゃふにゃで、柔らかくて、くしゃくしゃで、でも日々成長している。
 産後は八週目から仕事復帰をしていいらしい。法律でそう定められている。
事前準備を怠らない私は、既に保育園も確保し、その八週目から仕事に戻った。

「中田さん、お久しぶりです~体大丈夫ですか?」
 後輩達がみんな私を出迎えてくれた。お祝いも色々もらっていただけに、育児休暇のない会社の私は更に働かなければ、という気持ちにかられていた。
 そんな時だった。

「中田さん、保育園から電話です~」
 子どもが熱を出したらしい。
「子どもが小さいから仕方がないですよ!」
「今は復職期間ってことで!」
 みんなから同情された。
「働いてるだけでもすごいことですよ!」
「旦那の稼ぎがよかったら私なら仕事辞めちゃうくらいですから、中田さんはすごいです!」
 その同情が、やけに痛くて。
産後のメンタルはずたずただ、その同情はマイナスの意味にしか捉えられない私にも苛立ちがある。
「中田さん!?」
 私は初めて職場で泣いた。接客業の現場で、泣いてしまった。
 この涙は、なんの涙なのだろう。

【同情】

※【冬休み】の続編

2/20/2023, 12:27:32 PM