──もう十分なのに。
まだ私に愛を注ごうとなさるんですね、あなたは。
私に返せるものなんてほとんどないのに、等価交換にはならないのに。
この世界の常識をご存知でしょう?
与えられた分は返さねばならないのです。
もうやめてください。
そんなにうつくしい愛をいただいてしまっては、私が世間から後ろ指を指されてしまいます。
あのひとはあんなに貰ってるのに返していないと。
あなたにはもっと他に相応しい方がいるでしょう?
私のことなど忘れて、早く新しい愛を見つけてくださいませ。あなたの記憶の隅を陣取ることすら烏滸がましい。早く記憶から消してくださいませ。
それが。それだけが。
私が唯一差し出せる、愛とやらなのですから。
(愛を注いで)
12/14/2024, 10:37:47 AM