あ、
気づいたときにはもう遅くて、それを受け入れるしか出来なかった。
そろりと窺うようにきみをみる。きみもまた沈黙を返してくる。
いつもは気にならないのに、なんとなく気まずくて視線を逸らしてしまう。
やっちゃったよなぁ……
どうしよう、心ばかりが焦ってしまう。
きみはまだ黙ったまま、こちらを見ている。
もしも未来を見る力があれば……!
もしくはタイムトラベルが出来れば、
そんなどうしようもない妄想が湧いてくるくらいには、パニックになっているようだ。
ほんの数刻前までは、きみとはまだ昨日と変わらない関係だったのに、ほんの少し他に気を取られたばかりに、きみとの関係は変わってしまった。
どうしよう、ほんと、
ぼくの焦りとは裏腹にきみは変わらない…
きみをすくわないといけないのはわかっているのに。
時間だけが過ぎていく。
タイムリミットまであとどれくらいだろう。
諦めるしかない、か……
ごめんね。
次はきっともっと上手くやるから。
きみのこと忘れずに前に進めるようにするから。
そう約束してぼくは、
現実逃避をやめて
手に取った無事な卵と床に落ちた無残なきみを見据えるのだ。
6/18/2024, 12:48:10 PM