アウロラ

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気がつくと、私は中学時代の風景に戻っていた。青信号を待つ自分、懐かしいリュックと制服、登校する道。しかし、心の奥にモヤモヤが残る。青信号に変わり、私は横断歩道を渡る。突然、車のクラクションが響き、大型トラックが猛スピードで迫ってきた。避けなければ、と思った瞬間、誰かが私の手を引っ張った。

危機一髪でトラックは過ぎ去り、私は助かったが、何かに引っ張られた感覚が残る。ふと、猫の声が聞こえた。周りを見ると、白い子猫が佇んでいた。親はどこだろうと心がざわつく。振り返ると、白猫が横断歩道に倒れていた。

「…まさか……私を庇ったの?」思わず声が漏れる。懐かしい気持ちが胸を締め付ける。白猫の前に辿り着き、躊躇なく抱きかかえた。鼓動と息が感じられた。

「っ!…よかった……まだ生きてた!」早く病院へ行かねばと強く思った瞬間、声が聞こえた。

「…よかった……___……」

「…え?」ノイズのような音で聞き取れない。目眩がし、白猫を抱きかかえたまま、子猫が現れた。「またね」と笑顔で言われた。

気がつくと、私は病室で寝ていた。「…あれ?……ここは、病室?」思い出す。大型トラックに引かれそうになった時、誰かが助けてくれた。横断歩道で倒れていた私を救おうとしたその時、傍に5本のオレンジの薔薇があったらしい。あの白猫と子猫の存在は、私を守るための奇跡だったのだろうか。懐かしさと共に、心に温かい光が灯った。






11月15日(金曜日)
【テーマ:子猫/花言葉、あなたに出会えて心から嬉しい】

11/15/2024, 11:07:45 PM