繊細な花
「繊細な花なんてお題は書けねーっ」とひとりごちて伸びをしたら、「花のことなら花の精のあたしが、教えて、あ・げ・る」と背後で声がした。振り向くと身長10cmくらいの女の子が羽もないのにふわふわ浮いていた。誓って酒は飲んでないがオレ実は酔ってたのかもしれない。「繊細な花ってどんなだと思う?」と女の子が聞く。
「うーん、儚げですぐ枯れたり萎れたりする花?」
「弱いだけでしょ」
「カラスウリのレースみたいな白い花?」
「それは悪くないわね」
「逆に繊細じゃない花ってなんだろう」
「すべての花は繊細よ」
「そうかなあ、ギシギシとかヤブガラシとか繊細じゃないだろ」
「ギシギシなんかと一緒にしないでよ!ヤブガラシはピンクとオレンジでかわいいのよ!」
女の子は急に怒りだして消えてしまった。と同時にぱらぱらと小さな四弁花が落ちてきた。ピンクともオレンジともつかない優しく繊細な色合いの、それはヤブガラシの花だった。
6/26/2024, 8:44:42 AM