丘陵から日の出を見る。
やっと自分の任務は終わり、そして一日が始まる……気が抜けた男は武器をしまい草むらに寝転がった。
太陽が出てしまえば奴ら──鬼は活動が鈍くなる。日中は人間の時間。もう安心して大丈夫だろうと考えてのことだった。
まだ暗い時間から動いていたから疲労はひどいものだ。朝霧に濡れた葉が顔に触れて心地良い。
冬になり夜から朝方にかけてはだいぶ冷えるようになってきたが、ずっと体を動かし続けていたため、冷えなどどうということはなかった。
「これから雪が降ったらやべぇな」
寝転がれなくなる、と呟いた。雪は雪で冷たくて気持ち良さそうだが。
駆けてきたから息がまだ荒い。
「初日の出、だ」
そういえば、今日は元日だった。昨日は世話になった人に挨拶周りをし、蕎麦を打ったりご馳走を用意するのに大忙しで。
年が明け、今日も忙しい一日が始まる……その前にもう少しだけ、休息を。
「今年も頑張るか」
目を閉じて、深く呼吸をする。
草の匂いを目一杯吸い込んで、清々しい気持ちで新年を迎えるのだった。
【日の出】
1/3/2024, 12:08:49 PM