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静かな夜明け


ーそして、三日三晩続いた彼らの死闘は、
男の胸を女の剣が貫いて終わった。

いくら、男が無尽蔵に再生する身体を持っているとはいえ、毒と飢に身体を蝕まれていては、普段は致命傷にすらならなかったその攻撃にも、耐えることはできなかった。

女の方も五体満足とは言えなかった。片腕は使い物にならずだらりと垂れており、腿には深々とした刺し傷がある。
そのせいか倒れた男の元へ近づくのも脚を引きずっていった。

女がわずかに生きようとしている男に近づいた時、
男の口角が上がった。
普段の軽口を叩く不敵な笑みではなく、どこか見送るような表情。

その表情を女はただ冷たく、おそらくただ冷たく見下ろして、
男の胸に刺さったままの剣を深く地面へと刺した。

ながく、ながく、上らなかった、太陽が昇る。
陽が高く昇るまでの寒々とした冷気が女を包んだ。

2/7/2025, 4:32:29 AM