夢幻劇

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カサ、カサ、カサ

枯れた落ち葉でいっぱいの、暖色のカーペットをふむ度に、
心地よい音が聞こえる。

カーペットをよく見ると、どんぐりがところどころに落ちている。

ヒュー、と吹いた風に寒さを感じて、身をすくめる。

いつもは早まる足も、少しばかり遅くなる。


“あぁ、秋だなぁ”


ビュー、と風が強まってきた。

名残惜しく思うも、寒さには耐えられない。

足早に帰路を歩いていると、ふわっといい匂いが鼻をついた。


“さつまいもだ”


焼き芋の、蜂蜜に似た甘い匂いにつられて行くと、50代くらいのおじいさんが「焼き芋いかが〜」と決して声を張っているわけではないが、しっかりと聞こえる、そんな声で呼びかけている。

ぐぅ〜とお腹が鳴り、聞こえていないかドキドキしつつ、おじいさんに焼き芋ひとつを貰い、代金を渡す。

お礼を言い、あちち、と熱さに驚きながらも、手の中の温もりに秋らしさを感じる。

えもいわれぬ愛おしさを胸に抱き、家に帰った。



【秋🍁】
あんまり納得してないです。

9/27/2024, 10:33:01 AM