今はあちこちにイルミネーションが
あって、そんなに珍しい事では無くなった
しかし、20年ほど前はイルミネーション
なんて、特別な家の特別な飾りだった
私の家から10分ほど離れた隣町に
家一軒まるまるイルミネーションを
かざった民家があった…
一般家庭だと言うのに、家の前には
車が数珠つなぎで、人々もあちこちから
その家を目掛けて押し寄せて来た
新聞·テレビまでもが取材に来る家だった
私たち親子もやっと車を止めて
綺麗に飾られたイルミネーションを
見せてもらっていた…
「いったい電気代いくら掛かるんだろう」
庶民にとってはごもっともな疑問だ…
ドアの上にセキュリティのマークが
ある所を見ると、かなり裕福な家らしい
………「ひと月10万ですよ」
「え〜!マジですか!」
振り返ると家主らしきご主人が立っていた
何の得もないボランティアみたいな
イルミネーションを、まるまる一軒飾り
多額のお金を費やして、他人を楽しませる為だけに維持する家主に、頭が下がる思い
になった…
あれから随分と時は流れた、家は健在だが
時間が過ぎて家主も亡くなり、誰も居なくなった…今は、暗闇にじっと佇んでいる
ただ、私たちの胸の中には思い出として
ずっと鮮明なイルミネーションが今も
焼き付いている…
今更ながら…
「家主さん、綺麗なイルミネーションを
見せてくれてありがとうございました」
12/14/2024, 11:41:39 AM