沈む夕日
銃から薬莢がバラバラと落ちる。玖蘭は殲滅対象のヒトデナシと戦闘を繰り広げていた。
大振りの銃を持ち上げ、ちょこまかと動き回る生物に撃ち込み続ける。だが、ヒトデナシの身体は頑丈なのか中々斃れない。
――きりがない。
玖蘭はヒトデナシに銃弾を浴びせながら、舌打ちをしそうになる。
仲間とはとうに分断され、孤軍奮闘を続けていたが限界に近づいてきていた。
ぜえはあと息を上げながら、玖蘭はヒトデナシから距離を取ろうとする。
隙を待っていたのかヒトデナシは玖蘭へと一気に詰めてくる。玖蘭は不意を突かれたのか、後ろに下がるのを一瞬躊躇った。バランスを崩し、後ろへと倒れる。
―不味い。
ヒトデナシが玖蘭の眼前へと迫ってくる。
ヒトデナシの不気味な身体から外の景色へと視界がぐるんと回った。
「あ」
さくら色の唇から、吐息に近い言葉が思わず漏れる
ヒトデナシも言葉につられたのか、外の方を見た。
瞬間、ヒトデナシは何が起きたのか理解しかねた。
自身の身体に銃剣が、胸から背中まで突き刺さっていた。己の核が破壊されたと気付くのにいやに時間がかかった。
次にヒトデナシが見たのは、玖蘭が別の拳銃で自身を撃ち殺すところだった。
肩で息をしながら、玖蘭は足でズルズルと骸から銃剣を引き離すと、その場に座り込んだ。さっきヒトデナシの爪が腕にかすったのか、指先から血が滴り落ちていた。
――早く、止血しないと。
頭では理解しているが、体はもう動かない。血が、床に赤黒い線を作っていく。
顔に光が当たる。玖蘭は弱々しく頭を外へと向けた。
玖蘭の目に映るのは、沈みゆく夕日。
赤い太陽が地平線へと隠れてゆく。
玖蘭の顔に当たっていた光が徐々に弱っていく。
「もうすぐ、黄昏になる」
何処からか人間の足音がする。
――味方か。
何故かそんな気がした。
血はまだ流れている。ようやく体が言うことを聞き始めたのか、片方の腕で出血している所を抑える。
「あ、るじ…さまっ」
「助かった、血を止めるのを手伝ってくれないか」
4/7/2026, 1:47:00 PM