自鳴琴

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幼い頃は、夏の扉が近づく度に胸が高鳴った。

夕暮れのなか伸びた影

盛り切った真っ白な雲

見るもの全てが新たな季節への合図のようだった。

瞬く間に過ぎたあの日の夏から、全てが変わった。

年々酷くなる暑さは目を逸らしたくなるほど鬱陶しい。

流れるように過ぎる日々をただひたすら待つだけ。


今日この日もまた

あどけない私がいた瞬間に帰りたいと強く願った。



『夏』

7/14/2025, 2:21:58 PM