俺は……まだ知らなかったんです。
生命の重さと大変さ……それと奥さんの偉大さも。
先日戻った奥さんと天使は本当に愛おしくて、可愛くて仕方がないんだ。
けれど……俺たちの天使は夜泣きが凄いんだ。
俺は彼女に任せっぱなしにはしたくなくて、さすがに育休を取らせてもらいました。
職場に迷惑もかけるかもと思ったけれど、救急隊と言う立場だと率先して休めと言ってもらった。本当に先輩や、隊長には感謝しかない。
今日は彼女を寝かせたくて、俺が天使のお相手です。
でも短時間で起きちゃうんだよな。
今は嵐の前の静けさ。
ぷくぷくのほっぺが可愛くてたまらないんだけれど、つついて目を覚ましたら大変だ。
だから、今の俺はこの天使の寝顔を独り占めしてる。
どこかで彼女も独り占めしたいけれど、まずは天使だ。あどけない天使の寝顔を見ていると自然と笑みがこぼれた。
初めての子供だから、これから父親として知らない世界に足を踏み込む。
「これからよろしくね」
本当に小さな声で呟いたのに、天使の瞼がひくひくと動く。
やばっ!
これから、俺の試練が始まります。
おわり
三六六、まだ知らない世界
5/17/2025, 1:53:38 PM