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時告げる鐘の音。
伽藍の天上に描かれたフレスコ画。
この教会には、今日も神はある。
大きな十字架が、掲げられているが、信徒の姿は見えない。
ステンドグラスから、薄光をともなって、降りてくる光の粒は、教会の静寂さに拍車をかけている様だ。
「シスター、相変わらずの奉仕精神の欠如は、如何かと思うが、それは従順な愛なのかね?」
と、ガブガブ頭に噛み付いて来るシスターを、払い除けながら、私は血のたれた額を拭った。
「アガペーとは神の愛。これ即ち、神しか持ち得ません! ましてや、人の愛など、打率の低い打者のごとく、当てになりませんわ」
話が見えない……。
結局のところ、このシスターが信心深すぎて、頭がイッちゃってるのは、どうしょうもないことだ。
それには、誠心誠意、秩序と律法を持って、接しなければならない。
私は私なりに職務を全うしているという、事実が必要なのである。
「それより、神父様。今度の復活節の、イースターエッグは、どのようにいたしましょうか?」
「皆で飾りつけをしよう。あ、君は去年、無茶苦茶な絵を描いた経歴があるから、ベンチにいてくれたまえ」
「ピンチヒッターという訳ですね」

9/6/2023, 10:17:10 AM