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青春は若い奴らにもったいない、ととある劇作家が言ったらしい。
それを言った劇作家はきっと今でいう陽キャというやつで、何をやっても許されるような無鉄砲さに、正義に酔った連中に幾度もなく殺されかけた俺のような青春時代を送って来なかったのだろう。
少なからず、青春時代イコール暗黒期だったオレのような弱者の人間の気持ちを欠片も理解しないような人間であることは間違いないだろう。まぁ、知らんけど。

「わっかる~」
目の前にいるスーツを着た女性は俺のしょうもない話を真意に聞きながらノートに書き付けている。

「それで、復讐するの?」
「しねぇよ」

なんとなく目にした復讐代行という広告に惹かれ、電話したまでは良いが、彼女と喋っているうちに正直、どうでも良くなってきた。

「そこまで畜生に堕ちたくない」
「お兄さんは良い人だね」
「そうか?」

金を払う気がない客のヒヤリングに付き合う彼女の方が良い奴だろう。それが、仕事だということは脇に置いといて。

「お兄さん、この後、良いことあるよ!」

笑顔で親指を立てた彼女と別れた数日後、テレビのニュースで昔、の同級生だったやつらが火災事故に巻き込まれ、生死を彷徨っているという内容が流れてきた。

たまたまだろう。
俺は断ったし。ああ、だけど。

「ざまーみろ」



11/30/2025, 5:43:42 AM