飛花

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勉強しろ勉強しろ、とだけ言われて育ったわたしは、勉強できなくなった途端に失望された。にも関わらず、世間体を気にする母はそれでも勉強を強要した。それにわたしは疲れていたみたいだった。母が肉塊になっただけで、わたしは体の疲れが一気に流れ出た。気分が楽になったわたしは、肉塊を放ったらかしにして散歩をすることにした。
3時44分。世の中はとっくの昔に夜が更けていた。海風が、わたしの頬を撫で、涙を一緒に連れ去っていく。誰もいない海は、罪を犯したわたしを許すまじと、闇で包む。けれどわたしはそれとは正反対に、清々しい気分でいた。
どうしてあんな化け物と一緒に暮らせていたのだろうか。そう考えれば考えるほど、なぜか晴れ晴れとした気になってくる、涙は絶えないけれど。
わたしはようやく、人になれた気がした。




#海へ

8/23/2023, 3:00:19 PM