囚人

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友達が行方不明になった。行方は私しか知らない。手がかりも私だけだ。警察にバレたくは無い。バレたら友達に呪われてしまうかもしれない。私は友達を監禁している。そして、弱ったところを殺すつもりだ。最近、行方不明者が増えていた。それも男児ばかりだ。彼はおかしな呪いを使えた。そういう家系に生まれたから、自然と使えるらしい。それを使って、彼が男児を誘拐しているのを、たまたま、見てしまった。見る気は無かった。見たくなかった。しかし、私の中の正義感が勝ち、彼を抑え込んで拘束して、自宅に閉じ込めた。
「なあ、見たんだな」
彼は口を開いた。それも、何処か愉快そうに言った。私は彼に恐怖を覚えた。彼じゃない。私の知っている彼がいなくなっていた。何処へもいなくなっていた。私は私の知っている彼が戻るまで、彼の前で待つことにした。しかし、事件の詳細を事細かに話すだけで、戻ってはくれない。事件なんてどうでもいい。私は彼だけを返して欲しい。少年が誘拐されて死んだっていい。そんなことより、今は、たった1人だけの大切な友人を取り返したい。私はそう思って、今日も彼に話しかけた。
「私の友達を返してよ」
しかし彼はとぼけるばかりだった。
「だから、今日も何を言っているんだ。これが本当の僕だ。君の友達は誘拐犯だったんだよ。ほら、早く警察に連れて行ってくれ。もうここにいるのは辛い」
私は彼を殴った。それから首を絞めた。もう彼は戻らないと言われて、殺すしかないと思った。どうせ誘拐犯なのだ、きっと人を殺しているに違いない。なら、私が誘拐犯の彼を殺したって、警察も納得してくれるはずだ。私は、彼にかけた両手に、めいいっぱい力を入れた。
もう彼は、私の所へは戻ってはくれない。ならば私が、彼を呪ってしまえばいい。そして、殺せばいい。

3/14/2025, 2:27:17 PM