白糸馨月

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お題『繊細な花』

 部屋にきれいな花を飾っている。白いバラとこれまた白いレースフラワーだ。だが、この状態を保つために花屋に言われたのは、「部屋の温度を一定に保つこと」だった。
 この花束は特殊な加工をしているようで、なんと一月くらいは枯れずに咲き続けるらしい。
 だが、私は一人で暮らしていない。
 仕事で出ている間に同居している母に空調を消されてしまった。だから、帰ってきて花がしおれかけてることに慌てて、水を替えて再び空調をつけた。
「電気代の無駄じゃない」
 母がためいきをつきながらやってくる。私は頭の血管が切れそうになるのを感じながら
「そうしないと、花が枯れるでしょ!」
「そんなの当たり前じゃない。枯れたらまた新しいの買えばいいでしょ」
 そう言って母は部屋を出る。花がすこし元気になり始めたことにほっとしながら、私は繊細さのかけらもない母にためいきをついた。

6/26/2024, 3:38:07 AM