夏輪篤

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健康でありたい。それでは健康とはどういう状態のことか?
健康の定義としてはWHO(世界保健機関)の
「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」
というものが有名である。
この中の「福祉」は原文(Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)を見ると”well-being”という、対応する日本語が見つかりにくい言葉であることから、これをそのままカタカナにした「ウェルビーイング」という言葉が近年では広く普及しているようである。
これを直訳するとwellが「良い」「良好な」、beingが「存在」「状態」「〜であること」「〜でいること」ということで、厚生労働省の文書などでは「良好な状態」などと訳されているようである。
かつて、「現実存在」から「実存」という言葉を作ったように、「良好状態」から「好状」あるいは「良態」などの新熟語をつくってみては、などと思ったが、どうもしっくりこない。
「いい感じ」とか、「よきさま」、最近の若者言葉と言われている「よき」などの方がしっくりくる、ような気がする。

健康の定義について調べてみると、上の定義を少し変更しようとしたが、うまくいかなかったものとして、次のようなものもあるらしい。
「完全な肉体的(physical)、精神的(mental)、spiritual及び社会的(social)福祉のdynamicな状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」
(Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)
"dynanic"という言葉のここでの意味は「健康と疾病は別個のものではなく連続したものである」という趣旨の発言があったとのことである。(以上は厚労省ホームページより引用)
健康と不健康とは固定的なものでなく、明確な輪郭の引けない関係であるということ、蚊柱が多くの蚊が不規則に動きながらも柱のかたちを維持しているように、健康は動的な平衡で生まれる何かであるということ。
"spiritual”は「霊的な」「たましいの」。
健康であるとは、このような各種の次元での健やかさを保ち続けることであり、固定的な立場や地位ではなく、不断の励み、活動の結果として生まれるものなのだろう。そして、それは一見不健康なものとも無縁ではないのだ、と思う。

ねがわくは からだとこころ たましいと ひとのえにしも まるっとよきに

8/14/2024, 1:54:22 PM