波にさらわれた手紙
大阪関西万博に行ってきた。
7日前抽選でブルーオーシャンドームに当たった。
目の前にドームいっぱいの真っ黒い球体
この真っ黒い球体がスクリーンになっていた。
球体に真横から青い光が当てられて、私たちには三日月のように欠けた地球が映し出される。
徐々に地球が満ちていき、球体スクリーンのメリットを存分に生かした大きな美しい、青き地球が現れた。
次に、魚の受精卵がドームいっぱいに映し出される。
1つの受精卵が2つの細胞になり、4つ、8つと高校生のときに学んだ卵割が進む。
数えきれないくらいの細胞の固まりになったとき、一つ一つの細胞が役割を持ちはじめ、背骨ができる。卵の中に魚の赤ちゃんが生まれた。
この魚が海の中を泳ぎはじめる。
美しい海だ。
そこに現れるのは・・・
海に捨てられた大量のプラスチックゴミ
美しい地球の、美しい生命の溢れる海が
プラスチックがいっぱいになる。
美しく残酷な現実が7分間の映画に表れていた。
・プラスチックは1度海に捨てられると400年は分解されずに海を漂う。
・海に捨てられたゴミは海流の影響で太平洋ゴミベルトという場所に集まり集積され漂いつづける。
・毎分20トンのペースで海にゴミが捨てられている。海洋ゴミの8割はアジアから出ている。
・人間の体内からマイクロプラスチックが検出されている。
・私たちは毎週クレジットカード1枚分のマイクロプラスチックを摂取している。
衝撃的な知識が飛び込んできて、金縛りのように脳を支配された。
それもつかの間、私たち人間は都合よく現実から目をそらし、次のパビリオンに移動し、楽しむ。
楽しかった思い出に浸り、ぐっすりと眠りにつく。
ホテルのゴミ箱には空のペットボトルが5本並んでいた。
・リサイクルに出されたペットボトルのうち本当にリサイクルされているのは9%
私たちは簡単にプラスチックを使い、ゴミ箱に捨てればあとは知らない。
そのあとの行方に責任をもたない暮らしを続けている。
ペットボトルがどのようにリサイクル知れているのかを知らない。
毎日大量に捨てられるペットボトルの量と、毎日リサイクルされるペットボトルの量が釣り合わないのは簡単に想像できる。
なのに、ゴミ箱に捨てれば知らん顔。
波にさらわれた手紙、なんてそんなロマンチックなことは言ってられない。
私たち人間は知能が発達しているが故に文明を発展させ、生きるために地球を壊すシステムを作り出してしまった。人間の欲を止めることは人間である以上誰にもできない。
もう、滅亡に向かって突き進むしかできないのだ。
人間の欲を止める方法など誰も知らない。
それを上回る恐怖を知ること以外は。
しかし、それも想像力のある人間にしかこの恐怖を感じることはできないのだ。
8/2/2025, 10:22:40 AM