朝倉 ねり

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『この世界は』

「なぁ、この世界はあまりにも窮屈じゃないか?」
いつだったか、貴方はそう言ってため息をついたわね。
「言葉を喋るにしても何にしても、俺たちは人間という枠、この地球に住む生命体という枠から逃れられないんだぜ?」
それを聞いた時、私、なんだか途方もない話を聞いたような気がして笑い飛ばしちゃった。
だってそうでもしないと、貴方、どこかに行ってしまいそうだったじゃない。
「なによそれ。貴方、そんな大口叩いたって、人間の体でやれること全部やり尽くした訳じゃないでしょうに!」
「そうだけどよ、でも……。なんていうかさ、ほら、ロマンがない。制限されてるってのはロマンが無いじゃないか。俺は何事も自由にやりたいんだ。」
大きく腕を広げて、キラキラとした目で語る貴方は少年のようで、馬ッ鹿みたい。

「自由って。貴方今不自由なの?」
「うぅん。そうじゃないんだ、そうじゃない。その質問は見当ハズレだ。俺は不自由じゃないんだが、ホントの意味で自由でもないってことさ。」
「まるで本当の自由を1度でも経験して来たかのような言い分ねぇ。貴方っていつもそう。貴方の身の回りのこともロクに知らないくせに、大きな世界のことばっかり喋って。今度の話題は『自由』なの?そんなこと四六時中考えてて、よく自分を見失わないわね。」
私の考えだって知らないくせに。
自由なんてもの考える前に、今日の晩ご飯のメニューくらい考えたらどうなの。
貴方のことだからどうせ、「なんでもいいよ」とか言うんでしょ、私は何作るか考えるの面倒だから貴方に聞いてるって想像つかないのかしら。

想像つかないのでしょうね、貴方には。
大きな夢ばかり見ていつまでも少年のような貴方には。
あぁホントにもう、この世界は全くもって私に優しくない!

1/15/2026, 11:18:33 AM