「あなたはなんでもない風に装うのが上手ね」
少し肌寒い季節になったある日、初めて僕がプロポーズした、世にも珍しい赤色の砂浜で君は目を細めて笑った。
その様が何とも寂しげで、僕は思わず眉を顰めた。
でもね、僕は思うんだ。
君の方が何でもない風を装うのが上手だと。
本心を見せてくれない君に腹が立つ。
だから僕も、たとえ君が泣いて僕に「教えてくれ。隠し事を全て打ち明けてくれ」と縋ったって、絶対に教えてやらない。
「そうでもないさ」
「そう?」
また二人の嘘が海に沈む。
12/11/2024, 2:08:12 PM