『私が人間になるために』
憂鬱な朝、体温で温まった布団に頭まで隠れるように籠った。
この中にいる時だけは、誰も私という存在を認識できない。そう思い込むことで心を落ち着かせた。
ギュッと体を丸める姿は、きっと大勢の「普通の人」にとっては滑稽に見えるだろ。それでもこれは、私が1日人間でいるためには必要不可欠な儀式なのだから。
きっと、この人間に上手くなりきれない私のそれに名前はついていない。名前がついたらどんなにいいかと考えている時点で、私はとことん甘いのだろう。自己嫌悪で胃がムカムカする。
布団の外からぴぴぴと朝の7:35を知らせる時計のアラームが聞こえる。ああ、ここから出なければ。
今日も1日、人間になりきらなくては。
(テーマ:楽園)
4/30/2024, 1:23:13 PM