次郎

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『もう一つの物語』

もし、この世の何処かに

自分の人生の中で

選択しなかった世界があるなら、

その世界の私は

どんな人生を送っているのだろうか。


私は、もし、そんな世界が何処かにあるなら

きっと、

私が産まれていない世界だってあると思っている。


私の母は、

本当に絵に描いたような気苦労が多い人だった。

母を思うと、

生きて来た人生にどれだけの幸福が

あったのだろうかと

きっと、幸福を感じるよりも

胸を痛めた方が多いように思う。


生前、幸福だったかとは聞けなかったし

聞く事も躊躇ってしまう位だった。

多分、聞いたとしても

大きなお世話だと言われ、

自分の人生を考えなさいと怒られるだろう。

それに、きっと、

母はどれだけ心を痛めたとしても

幸せだったと言える強い人だ。


だからこそ、私は思うのだ。

もし、父親と結婚せずに

愛した人と結婚していたのなら、

あなたは今も元気で生きているのだろうかと。

あなたが、心を痛めずに

素直に幸福を感じられているのだろうかと。


あなたが涙を流すよりも

多く笑っていられる人生なら

私が産まれない世界があれば良いと。


あなたが私の幸福を祈るように

私もあなたの子供なんだから

あなたの幸福を祈りたい。


だから、考える。

はっきりと無いとは言えない世界があるのなら

あなたが

今日も明日も笑っていらますようにと。

10/29/2024, 3:26:17 PM