ベランダを出ると、夜風が急ぎ足で僕の肌をかけていった。今夜はしぶんぎ座流星群の極大日であり、さらにニュースでは1時間に20個ほど観測できる好条件だと言っていた。こんな真冬に1時間もベランダに居る訳にはいかないが、10分ほどは耐えてみようと思った。確率では3個は見えるはずだ。
5分ほど経っても、流れ星は見えず、ベランダから見える範囲で空の見る範囲を適宜変えて見ていた。そして、もう1分待っていると、目の端で光の尾を捉えることが出来た。瞬時に目線を向けた時にはもう光ってはいなかったが、それは紛れもない流星群だった。
その流星群を見た後の数分間は呆然としていた。風が興奮した頭を撫で、乾いた目は寒さで赤くなっていた。その時僕は、確かに自然に含まれた存在だった。
3/11/2025, 3:22:35 PM