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『星明かり』

自分の人生が、味気ないものだと感じるようになったのは、いつからだろう。

例えば、こんなふうに仕事帰りの電車の中で。
今日もいいことなかったなぁ、とか。
なんでいつも面倒な仕事が回ってくるんだろう、とか。

そんなことばかりツラツラと、悩むでもなくポツリポツリと頭に浮かんで。

ぼんやり窓の外を眺めた時に、車内の電灯の強さに負けている、見えるか見えないかくらいの存在感の薄い星の光を目にすると――自分もあんな感じなのかと。

ただ、それで終わっていたら本当にダメになってしまいそうで。

小さな最寄り駅の、灯りの少ないロータリーでもう一度空を見上げることにしている。

すると、さっきまであんなに薄かったのが嘘のように、くっきりと浮かび上がる星明かりに、ちょっとほっとするのだ。

4/21/2025, 9:59:51 AM