壊れてほしかった、ずっと。
私はね、気づいていたよ。たくさん笑ったあとで皆の視線が外れた瞬間に一切の感情が抜け落ちるところ。あなたも気づいていないようだけど、声もなく『くだらない』と呟いている。
そうやって曇っていくあなたの全てがほしい。
いつか二度と元に戻せないくらいバラバラになって捨てられてしまう、その時を待っている。味方でもなければ偽善者でも悪役でもない。風に吹かれて溶ける煙のようにゆっくりと蛇行しながら消えるあなただ。
誰に憎まれたって、この歪みこそが愛だ。
あなたはそれを知っている。だから誰にも求めず自分自身にも期待しない。色褪せたつまらない世界を目に映して不安や恐怖にゆるく締め上げられる首を撫でる。仕草の一つ一つに終わりを連想させる丁寧さがある。
そうやって作られた丁寧な作品を私と一緒に、ね。
壊して、壊れて。
次は私があなたに終わりを運ぶ。
そう、期待して夢みているのでしょう。
あなたも、私も。
【題:曇り】
3/23/2025, 4:36:28 PM