前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内某所に住まう稲荷子狐が、ここの法務部に先月から、修行に出されておりました
が、
何がどうしてそうなったか、まぁぶっちゃけ前回のお題が原因なのですが、
まさかの経理部長に気に入られまして。
だってコンコン子狐、五穀豊穣に商売繁盛の稲荷狐ですので、たいそう働き者なのです。
すべては、偉大な御狐様になるため!
立派な稲荷狐として、認められるため!
コンコン子狐はまだ子供ですが、
いっちょまえに、夢見る心は持っておるのです
(お題回収)
「子狐。本日のプロアイルルス経理部長は、お前にこの仕事を授けました」
その日もコンコン子狐は、経理部長が持っている金銀財宝に釣られまして、
経理部長の秘書さんから、ひとつ、仕事を押し付けられました。
「子狐。この、機構によってイタズラされてしまったデータを解錠して、
法務部執行課に調査を依頼してから、
環境整備部の難民支援課に、持って行くのです」
わあわあ。子狐は収蔵部でお世話してもらっておるのに、なぜ経理部長にこき使われるのでしょう。
でも子狐は、経理部長のとこの金銀財宝が気になって仕方ないので、
データが入ってるクリスタルタブレットを背中にくくり付けてもらって、とってって、ちってって。
経理部から法務部へ、法務部から環境整備部へ。
おつかいの日帰り旅行に、行くのでした。
「おねーちゃん、おねーちゃん」
法務部から環境整備部に向かう間に、
コンコン子狐、自分を優しくお世話してくれる、収蔵部のお嬢さんに遭遇しました。
「キツネ、なんで、けーりぶ、経理部のブッチョサンに、こき使われてるんだろ」
「なんかねぇ、経理部長さんが、コンちゃんの一生懸命なのを、すごく気に入っちゃったらしいよぉ」
経理部長さんのお仕事が終わったら、美味しいごはんを一緒に食べようね。
収蔵部のお嬢さんは、子狐を優しく撫でて、子狐を励ましてくれました。
「経理部長さんはねー、コンちゃんみたいな、一生懸命仕事をするコのこと、すご〜く大事にするの。
きっと、コンちゃんのこと、認めてくれてるんだよぉ。頑張ってね〜」
そっか。認められてるのか。
コンコン子狐は嬉しくなって、下がった尻尾もちょっと上向いて、とってって、ちってって。
環境整備部に向かって、また歩き出しました。
背中に背負ったタブレットを、環境整備部の難民支援課、難民シェルターの某所に届けるときに、
子狐は難民の、戸建ての家を通りかかりました。
そこは、世界線管理局が、
滅んだ世界からこぼれ落ちて、故郷を失いながらも生きながらえてしまった生命を収容して、
そこで、第二の人生を送ってもらうために整備した、文字どおり地球規模のシェルターでした。
「かあちゃん!かあちゃん!」
家の庭の大きな木に、魔法の鉱石をポチポチくっつけながら、小ちゃな子供が叫んでいます。
「どうかなぁ、キレイにみえるかなぁ!」
魔法の鉱石は、朝昼に人工太陽の光を吸って、夜にぼんやり、光るのです。
子供はこの鉱石でもって、庭の木をライトアップする魂胆なのです。
「あらあらあら。張り切っちゃって」
子供の元気な声に、大人が優しく応対します。
「夜になったら、一緒に見ましょうね」
コンコン子狐、難民家族の様子を見て、途端に東京のお母さんとお父さんと、おじいちゃんとおばあちゃんが、恋しくなってしまいました。
早く修行を終わらせて、お母さん狐やお父さん狐に、褒めてもらいたいとも思いました。
稲荷狐として認めてもらう、
お父さんやお母さんに褒めてもらう。
夢見る心を強くした子狐は、とってって。
おつかいを終わらせるべく、歩き出しましたとさ。
4/17/2026, 3:32:34 AM